長期休養明け３戦目の重賞ウイナーが復活を遂げ、レコードを更新する圧巻のパフォーマンスで重賞２勝目を飾った。一昨年夏に七夕賞を制した後に屈腱炎を発症し１年半の休養を余儀なくされ、復帰後の２戦も差のない競馬はしていたが、まだ本調子には程遠く今回も陣営は半信半疑での出走。しかしレースでは素晴らしい走りを披露し素質馬復活の舞台となった。高速馬場のなか16番枠と不利な外枠からの発走となったが、好スタートから先行勢を行かせ中団馬群に待機。３コーナー手前で前の馬が下がる不利で馬順を下げたが、徐々に外に出して絶好の手応えで４コーナーを向かえる。直線に向き残り400ｍからスパートを開始すると一気に先団を捕え、残り200ｍでは後続を突き放して先頭に立ち、内ラチ沿いまで斜行しながら後続の追い上げを全く寄せ付けず、ラストは鞍上が抑える余裕を見せての完勝であった。前半から流れた展開もラストを僅かな失速に留めて押し切り、１分43秒９のレコードで駆け抜けている。２・３着馬は最後方の位置から展開利を味方に差し込んだ馬で、先行勢には厳しい展開でありながら早め先頭から楽勝したレース内容は評価できるものである。一昨年は秋の大舞台を見据えながら屈腱炎に見舞われ悔しいシーズンとなってしまったが、今年はいよいよ大舞台に挑戦する勝負の秋となりそうだ。2000ｍでも３勝を挙げており天皇賞(秋)が非常に楽しみとなる圧巻の復活劇であった。

ダービーへの切符を懸けた一戦は好素材が揃いレベルの高いメンバー構成。２戦２勝で注目を集め３番人気に支持されたが、勝ち馬に２馬身半差を付けられる２着に敗れ初黒星を喫してしまった。過去２戦は中京コースで先行抜け出しで連勝を決めるも、今回は初の右回り少頭数での決め手比べと不安材料があるなかでの重賞初挑戦であった。抜群のスタートから外の３頭を行かせて４番手のインをキープ。序盤から全くペースが上がらずに中盤で12.8～13.4秒のラップが５Ｆも続く超スローペースとなる。残り４Ｆから一気にペースアップし、早めに仕掛けた外枠勢が馬場の良い外目を進出して直線を向かえる。直線入口で先頭に立ったショウヘイが危なげなく押し切ったが、終始馬場の悪い内々追走から直線しぶとく伸びて２着を確保。ラスト３Ｆが11.6-10.9-11.3秒と速くなり、持久力を活かしたいこの馬には不利な展開となったが、唯一内を突いて上位に食い込んでおり力でカバーした２着であったと感じられた。収得賞金を加算しダービー出走のボーダーラインには届いたが、ＮＨＫマイルＣ組のダービー参戦如何ではボーダーが上がり出走は微妙で次走は未定の状況。まだキャリアが浅く適正は決め手勝負よりも総合力で勝負するタイプと思われ、本領発揮は古馬となってのハイレベル戦がベストな舞台と感じられるが、クラシック組にヒケを取らないポテンシャルの持ち主だけに、今後の動向と成長に注目していきたい馬である。

前走のファルコンＳ２着時にも取り上げた馬であるが、距離延長と展開不利ながらも見せ場十分の４着に好走している。東京1800ｍのデビュー戦を７番人気ながら快勝し、続く札幌２歳Ｓでは重たい馬場に苦しみながら４着も、勝ち馬はマジックサンズで２着馬は次走で阪神ＪＦを制したアルマヴェローチェとレベルの高い一戦であった。その後は折り合いを考慮して距離を短縮し前走のファルコンＳでは、不利な18番枠から好内容で２着となり大舞台に挑んできた。今回は前走の大外枠から一転して最内枠と極端な枠での一戦となったが、好パフォーマンスを発揮して見せ場十分の４着に健闘した。スタートはやや遅れ気味も最内枠を利して先行集団を形勢。道中は折り合い重視も行きたがるシーンはあったが、前半からハイラップが刻まれるなか素晴らしい追走力を見せる。鞍上の戸崎騎手が直線入口では徐々に馬を外に誘導し進路を確保。直線に向いても追い出しを我慢させ、外から追い出された勝ち馬に並ばれてからスパートを開始する。勝ち馬には前に出られてしまったが、残り200ｍでは２番手に上り見せ場を作るも、完全な前傾ラップの影響でゴール前は後方勢の強襲に屈してしまったが、勝ち馬とは0.1秒差で中団より前に居た組では最先着している。レース内容は先着を許した３頭よりも価値があり、同様のレース振りで掲示板を確保したランスオブカオスとともに高評価が与えられる。世代マイル路線のトップクラスとして今後の活躍に期待したい。