１頭競争除外で８頭立てとなったが、春のクラシック出走馬２頭を含む３歳馬が６頭出走する１勝クラスではハイレベルのメンバー構成であった。結果５着に敗れたが、逃げたコンクシェルが好ラップを刻み上がり勝負となったなか、大きな不利があってのものでパフォーマンス的には互角と言える内容であった。相変わらずスタートが遅く最後方追走から４コーナー手前で内々を進出し、直線は進路を探してのスパートとなったが、伸びかけた所で前が壁になり大外に切り替える大きなロスがあった。残り200ｍでの不利は致命的であるが、大外に持ち出された残り100ｍからの強襲は素晴らしく脚を余しての敗戦となってしまった。５馬身抜けた勝ち馬には完敗も、２着馬とは0.1秒差、３着馬とはタイム差なしまで迫ったゴール前であった。マイル戦で好績を残しながらクラシックに向け中距離路線を歩んだが結果が出ず、今回距離を戻したマイル戦では高いパフォーマンスを取り戻した。５着以上の評価は当然で、次回もマイル戦ならば馬場を問わず好勝負は間違いない。

２歳馬最初の重賞に15頭が揃い、雨上がりの重馬場と２歳夏にしては厳しい戦いとなり、馬場コンディションを味方にダート新馬戦を勝利したヘニーヒューズ産駒のゼルトザームが勝利する結果となった。先団でスムーズに運べた上位３頭は能力を出し切っての結果だが、窮屈な走りとなった４着のレガテアドールに注目したい。好スタートから内の先行馬を行かせ中団の外目を追走していたが、勝ち馬に外から被された後も外に馬が張り付き、４コーナーでも前の馬が進路を塞いで馬場の悪い内目に追いやられてしまった。直線も外に出す気配はあったが出せず、挟まれ通しながらしぶとく伸びて４着は評価できる内容だ。４コーナーでスムーズに外に出せていればと思わせる結果でもあった。デビュー３戦は洋芝の重馬場で、サトノクラウン産駒には好都合とも言えるが、420キロ台の馬体や軽い走りをする点からも野芝の良馬場で、さらなる高パフォーマンスに期待できそうだ。距離もマイルまで対応できそうで、次走大きく狙ってみたい１頭である。

６番人気ながら直線大外に持ち出されると、素晴らしい脚を繰り出し３着に好走した。兄姉に活躍馬を多く輩出する血統で、父ディープインパクトという点からも早くから注目されていた馬である。デビュー戦を快勝し２戦目のきさらぎ賞の２着でクラシック候補にも成りかけたが、その後は大きな着順を重ね低迷していた。５歳になってから距離短縮で1400ｍ戦をメインに使われ始め、徐々に成績が上がり２年半ぶりの勝利を挙げるなど、距離短縮で再浮上のきっかけが見えていた。近４走は1200ｍ戦を主戦場とし0.5秒差以内に善戦していたが、今回は先行馬有利な展開ながら、後方から大外を一気に伸び勝ち馬を猛追していた。1200ｍ戦に絞ってからの３着３回はやや重馬場と今回で、時計の遅い決着でのものだが、過去には1400ｍ戦で１分20秒台前半で複数回走った実績もあり、時計勝負になっても末脚を発揮できるだろう。短距離の差し馬としての走りが板に付いてきたと思わせる今回の内容は、次走に大きな期待を抱かせるものであった。

１番人気に応える圧倒的な走りで重賞初制覇を飾った。過去走では中山コースでも好走しているが、能力を存分に発揮するには大箱コースの軽い馬場が最適である。今回は初コース＋小回りでタフな馬場での舞台設定に不安があったが、楽な手応えで直線弾けた走りは見事であった。やや折り合いに課題は残ったが、操縦性に優れ反応の良さがセールスポイントである。鞍上のルメール騎手の好騎乗も光ったが、この馬のポテンシャルの高さを再確認できた一戦でもあった。まだスタートに課題があり、前半は後方待機を余儀なくされてしまうが、徐々にスピードアップして長く脚を使える強みがあり、大崩れはしないタイプになりそうだ。まだ賞金的に即ＧⅠ挑戦とはならず、ルメール騎手の継続騎乗も叶わない可能性が高いが、今後ＧⅡ路線で賞金を重ねれば今秋や来春のＧⅠでも通用する可能性も秘めている馬だ。