少頭数ながらオークス馬チェルヴィニアの弟のアルレッキーノが断然人気に支持されるなど好素材が揃い、２歳早期のＧⅢ戦ではあるが誤魔化しの効かない東京マイルコースでポテンシャルの優劣が競われ、不利な流れのなか５番人気で３着に好走したこの馬を取り上げたい。前走の未勝利戦は疝痛による出走取消後ながら鋭い決め手で勝利を飾るも、一気の相手強化で７頭立ての５番人気の低評価となっていた。好スタートを決め行きたがる素振りを見せながら先手を奪うも、外から２頭が上昇し被され３番手の内に下げて流れには乗ったが、前半３Ｆを34.0秒と雨馬場にしては速いラップを追走してしまう。直線に向き素晴らしい手応えで前を行く２頭を交わして敢然と先頭に立つも、ゴール前で後方に待機していた２頭の強襲に屈したものの３着に粘っている。ラスト３Ｆが11.7-11.6-12.0秒と前傾ラップでゴール前は苦しくなったが、スタート後の折り合い難と先行馬不利の展開を考えると、0.2秒先着を許した１・２着馬と互角以上のレース内容と評価できる。母は２歳時から短距離路線で活躍したエントリーチケットで、走りからも直線の長い東京コースのマイル戦はベストとは言い難く、次走で距離短縮や平坦コースなどのプラス材料があれば再度重賞で上位争いに期待できる。

前走の北九州記念は大敗に終わったが、過去走とは異なる新味を見せて巻き返しに成功し３着に好走した。葵Ｓ２着などスピードを活かした先行力で３歳短距離路線で上位を賑わせきたが前走の大敗を機に、今回は鞍上を岩田康騎手に替え新たな一面を見せ今後に期待できる走りを見せた。スタートでやや後手を踏んだこともあるが、押して前に行かずに中団馬群で我慢させていた。馬群に包まれても前進気勢は旺盛で手応え良く４コーナーを向かえたが、包まれ通しでスパートのタイミングが遅れてしまう。直線でも進路が確保できず馬群の後ろで追い出せない状況が続いたが、残り100ｍから外に持ち出されると一気の脚で猛追し0.1秒差まで追い上げた。ゴール前の脚は際立っており、スムーズに追い出されていれば突き抜けていた雰囲気であった。前に行って粘るのが定番となっていたが、鞍上変更でラストのキレを引き出す走りができたのは大きな収穫となった。馬体重も10キロ増やし一夏越しての成長が感じられ、今後は差し馬として短距離路線で活躍に期待できそうだ。

実績上位馬が凡走し大波乱となったが、近況の充実ぶりを物語る走りで５番人気ながら差のない４着に好走した。重賞実績はＧⅡ戦で６着２回と、前走の天皇賞(春)の５着のみで、格下的存在ではあったが天皇賞(春)では後方から素晴らしい末脚で0.5秒差まで追い上げ、本格化を感じさせる上り馬として注目されていた。レースでは今回も出遅れ最後方で脚を溜めるも、速いペースを刻む先団とは大きく離されしまう。３コーナー過ぎの下り坂からペースが上がったが、後方の内々で手応え良く徐々に差を詰めはじめ、直線は内に潜り込んで差し脚を伸ばし上位争いに加わっている。ラストは休み明けで重めが残ったことが影響したか決め手を欠いたが、唯一33秒台をマークする上り最速で上々の走りを披露している。スタート難というマイナス要素は解消されていないが、コーナーワークの上手さと磨きのかかった末脚は魅力十分である。上り32.9秒をマークした神戸新聞杯や、重たい馬場の小倉で上り36.5秒の消耗戦で勝利しており馬場や展開を問わず、過去４勝を全て異なる競馬場で挙げているのは心強い材料だ。今後に大きな飛躍が期待できる１頭として注目していきたい。