早い時期での２歳中距離重賞にクラシックを目指す素質馬が揃い、例年以上の好メンバーでの一戦となり、上位３頭に離された４着に敗れているが、ポテンシャルの高さを十分に感じさせている。東京のデビュー戦を勝利し２カ月半の間隔を空けて札幌２歳Ｓに参戦している。そのデビュー戦はスローペースの内々でじっくり脚を溜め、直線は馬群を割って抜け出しラスト３Ｆを11.4-11.2-11.2秒の速い上がりを余裕十分にマークする好内容も、今回は東京コースから大きく変わる舞台設定での大外枠で、小回り特有のペースアップに対応できるかがポイントとなっていた。スタートから前進気勢を見せ大外を回りながら先行集団に取り付き、手応え十分に４コーナーを向かえたが後方勢の早い仕掛けに対応が遅れ、直線入口では外から被されてしまった。直線では同型を差し返し一旦は上位争いに持ち込めそうな雰囲気であったが、中盤が緩まない流れでラストは脚が上がってしまった。それでも先行勢では最先着を果たし、人気を上回る４着に善戦している。初コースで大きく変わった舞台設定や前走と異なる外々を回った走りながら、好パフォーマンスは見せている。優秀なデビュー戦からも今後に期待できる馬で、今後の動向に注目していきたい。

ルメール騎手騎乗のマックアルイーンが後続を離し圧勝したが、３着に敗れながら好パフォーマンスを見せたこの馬を取り上げる。レッドファルクス産駒と地味な血統ではあるが、中間の追い切りで好時計をマークし、川田騎手鞍上の効果もあって２番人気に推されていた。内枠スタートで後手を踏み後方からの追走となり、鞍上が軽く促すと前進気勢を見せ上昇したが、前が壁になって鞍上が手綱を抑えるチグハグな序盤となる。３コーナー過ぎから外に進路を取って仕掛けられると、直線は大外から唯一差し脚を伸ばし３着まで追い上げている。小回りコースの1400ｍ戦で前半から淀みなく流れた事で末脚を伸ばした馬は少なく、結果的に３・４コーナーで４番手までに位置していた馬が全馬５着以内に入る前残り戦となった。前半でのロスや早い仕掛けで大外に振られる厳しい戦いとなったが、ゴール前までしっかり脚を伸ばし上り最速をマークした走りは評価できる内容である。距離もマイルまでは対応できそうで、次走の未勝利戦は確勝級と判断して良さそうだ。

重賞実績では劣る存在も素晴らしい爆発力を発揮しハナ差の２着に好走した。一昨年の菊花賞後に種子骨の靭帯損傷で１年以上の休養を余技なくされたが、復帰初戦から好内容で２着に激走し、その後も上位の上がりを確実に使って３走前に条件クラスを勝利しオープンに昇格していた。オープン初戦となった前走の関越Ｓでもレコード決着の高速レースで後方大外から豪脚を発揮し0.1秒差の３着に好走し、得意舞台の重賞に挑戦してきた。今回はハンデに恩恵がありコース適正でも他馬をリードしていたが、相変わらず序盤の行きっぷりが悪く最後方からの競馬を強いられる。直線は馬群に突っ込み徐々に先団との差を詰め、残り200ｍで進路を替えるロスがありながらゴール前は馬群を割って勝ち馬に迫った。上り最速の32.8秒は馬場を考慮すると優秀で、重賞でも通用するポテンシャルが開花した印象であった。前半ゆったり追走する形がベストでペースが上がる上級重賞は課題となるが、自身のペースを守って末脚に賭ければ上位争いをして何ら不思議ではない。上り１位を続けている新潟コースがベストであるが、舞台を問わず豪脚は発揮しておりコース替わりに不安はない。今後も直線の豪脚で重賞戦線を賑わす活躍に期待できそうだ。

高評判馬は不在も前走で好パフォーマンスを見せたスピード自慢が揃い、単勝10倍以下が６頭と大混戦に加え、台風の影響で重たい馬場となった事で現時点での２歳馬には非常にタフなレースとなった。10番人気ながら５着に善戦し、デビュー戦の内容からもアブキールベイを次走以降で狙える馬として取り上げたい。デビュー戦は時計が遅く低評価となっていたが、直線外に出して一気に前を捕えラスト12.1-11.3秒というレースラップを差し切った走りは低評価に甘んじる内容ではなかった。福島デビューでメンバーレベルは低かったが、センスある走りと小回りコースで見せた加速力を評価していた。今回は初コースでの牡馬相手に加え、408キロと小柄な馬体には不利と思えるタフな馬場は大きな不安材料となっていた。スタートで後手を踏み後方に置かれるも、促されながら内々を進出し馬群に取り付いた。前半で馬場の悪い内々で脚を使っているため、直線で脚を伸ばすのは厳しいと思われたが、直線で一旦は上位争いに加わる勢いを見せ0.6秒差の５着なら内容的には評価できるものである。馬体の成長は欲しいが、ポテンシャルは高く短距離戦で活躍に期待できそうだ。次走も人気薄が見込め大きく狙ってみたい１頭である。