１勝クラスの牝馬限定戦ながら、クラシックトライアルの出走馬など３歳勢が多く参戦し、ハイレベルの１勝クラスレースであった。３番人気での２着と惜敗に終わったが、ロスの目立つ競馬でこのクラス卒業は時間の問題と思えるパフォーマンスを見せている。デビュー３戦のキャリアで全て出脚が悪く後方からの競馬となっており、今回は多頭数での２番枠は大きな課題となった。飛び上がるようなスタートでダッシュが付かず、今回も後方からのレースを強いられる。内枠が災いして終始内々で大きな集団の後ろで我慢する道中。直線に向いても前が壁となり追い出しを待たされたが、残り300ｍから漸く外に進路を見い出し追い出されると、一気に差を詰め２着を確保した。やや瞬時のキレを欠いた印象だがゴール前の脚は際立っており、上り最速の34.0秒をマークしている。４月のフローラＳ５着以来の出走で、初コースではあったが能力の高さを再認識させる走りであった。デビュー戦の東京コースでラスト３Ｆ12.0-11.2-11.3秒を後方から差し切る豪脚を持っており、馬体の成長は欲しいところだが、１勝クラスなら確勝級の評価で良さそうだ。

柴田善臣騎手の最年長勝利記録更新で話題となったが、菊花賞でも面白い存在になりそうな新星が誕生したと言えるレースぶりであった。連勝中の３歳馬に加え青葉賞４着馬も参戦したハイレベルな２勝クラスのレースであった。結果的に人気を集めた３頭での接戦となったが、叩き合いを制して未勝利からの３連勝を決めている。デビューから３戦のキャリア【２･１･０･０】で連勝は逃げての勝利であるが、ともに上り１・２位をマークしての圧勝であった。２着に敗れたデビュー戦も出遅れから上がり最速でタイム差なしまで追い上げていた。今回はデビュー戦と同様に出遅れて５番手からの競馬となり、向こう正面に出るまで行きたがって頭を上げていた。落ち着きを取り戻した後は手応え楽に追走し、４コーナーの出口から外に出すと鞍上のゴーサインに反応し一気に先団を捕えた。ラストは折り合いを欠いたぶん止まりかけたが、内から迫る２戦２勝馬との競り合いを勝負根性で制した。折り合いに不安を残したが、デビューからコンビを組む柴田善臣騎手は距離は延びた方が良いと評価しており、父グレーターロンドンも管理していた大竹調教師も、58歳・柴田善臣騎手とのコンビで菊花賞を目指すとラスト１冠に挑戦する意向を示した。トライアルを挟むか直行かは未定も菊花賞に駒を進められれば、世代トップクラス不在の相手関係から十分に勝機はありそうだ。

スプリンター向きの高速馬場であったが、初の1200ｍ戦に対応し好内容の２着と結果を残している。オープンでの実績は前走の京王杯ＳＣ３着のみであったが、近走のレース内容と中間の気配が良く３番人気の評価を得ていた。しかし1200ｍ戦は未経験で、1400ｍ戦で好結果を残してはいるが前に行けない脚質は不安材料となっていた。内有利の枠順に恵まれはしたが、超ロケットスタートを決め他馬を置き去りにし、徐々に抑えて６・７番手の内に控える。ハイラップのなか馬群で揉まれる形となったが、余裕の手応えで追走し直線を向かえる。前を行く２頭の間を割るのに手間取り、その間に外から差し勢が押し寄せ一旦は５番手付近まで下がりながら、残り200ｍから進路を切り替え加速すると勝ち馬を猛追しクビ差まで迫った。ラスト１Ｆ11.5秒と勝ち馬も止まっていないなか、クビ差まで詰め寄った脚は素晴らしいものであった。惜敗となったが賞金加算には成功し、今後のスプリント重賞を賑わせる存在になりそうだ。昨年のスプリンターズＳと今年の高松宮記念は現５歳勢が掲示板を独占しており世代交代が進んでいない。スプリントＧⅠ・２勝のローレルゲレイロを母父に持つこの４歳馬が、世代交代の切り札に成り得る可能性を秘めている。