古馬混合の２勝クラスは３歳馬が斤量的に有利ではあるが、圧倒的な走りでポテンシャルの違いを見せ付け勝利した。３歳限定戦であった前走までは世代の強敵相手に２勝止まりであったが、ダートオープンクラスで３着を繰り返していた。デビュー２戦目で芝に挑戦した函館２歳Ｓは大敗したが、ダート戦に限れば着外はフォーエバーヤングが勝利した全日本２歳優駿(川崎)の４着のみである。特に近２走は上り最速で微差の勝負をしており、世代ダートトップクラスの馬と言える。今回はキャリアを積んでも２勝止まりの古馬相手で断然人気になっていたが、余裕ある勝ちっぷりで他馬を寄せ付けなかった。スタートから先団を見る形で４番手の好位を確保し、前半は砂を被っていたが怯むことなく追走し、３コーナーから外に出されると持ったままの手応えで直線を向かえ、残り200ｍからルメール騎手のゴーサインで一気に加速して後続を３馬身半突き放した。今回も先団追走から上がり最速で、ゴール前もまだ余裕ある脚色であった。力が大きく違っていた印象で、まだ上を目指せるのは確実である。今後の動向に注目していきたい。

ＧⅠ馬ローブティサージュの仔・ラトラースが断然人気を集めていたが、素晴らしい走りで評判馬を下し初陣を飾った。マイルのメイクデビュー戦らしく中盤が12.6-12.8-12.6秒と緩み、内回りコースでのラストの決め手勝負となった。10頭立ての大外枠から好スタートを決め、外４番手で折り合いを図る。しかし向こう正面半ばで抑え切れなくなった馬が一気に上昇し、一緒に行きたがる素振りを見せるが、そこを何とか抑え込み再度４番手に下げた。４コーナーではペースが上がるなか大外を回り、ラスト11.8-11.4-10.9秒という高速加速ラップで先に抜け出したラトラースを捉え快勝した。道中はチグハグな走りで折り合いも十分でないなかでも、走破時計や着差以上に奥を感じさせる勝ちっぷりであった。気の入りやすい馬で現状はマイル戦を選択したが、祖母の妹に宝塚記念２着のスルーセブンシーズがいる筋のある血統で、父がパゴなら距離の融通性がありそうだ。まだ幼い面を残しているが、早期の勝ち星で成長を促せる期間が持てるのは好都合となり、成長次第ではクラシック路線を歩めそうなポテンシャルを持っている。

キャリア５戦目での格上＋重賞初挑戦となったが、今後に期待を抱かせる走りで３着に好走した。３歳４月とデビューが遅く既走馬相手の初陣でアタマ差の２着に敗れたが、その後は未勝利戦～２勝クラスまで３連勝と底を見せていなかった。しかし３連勝はともに左回りでのもので、長く脚は使えるもののスパッとキレる脚を一度も見せていなかった。今回はデビュー戦以来の右回りで、高速上りが要求される平坦コースでの相手強化で不安材料が揃っていたのは確かである。レースではスタートから促されながらの追走で道中も揉まれる競馬となり、鞍上も「上手く乗れなかった」とコメントしているように苦しい立ち回りとなっていた。しかし４コーナー手前からスパートを開始し大外を回るロスがありながらも直線での脚が目立ち３着を確保した。２着馬とはクビ差の接戦で、浅いキャリアや道中の苦しい追走を克服して自身上り最速の34.3秒をマークしているのは立派である。賞金加算ができず３勝クラスに留まる事にはなり、体質の弱さから順調に使えるかは微妙であるが、次走は確勝級の評価で問題なく今後は牝馬限定重賞で活躍が期待できる馬になりそうだ。