３歳牝馬のジューンオレンジの強さは目立ったが、９番人気ながら５着に好走したこの馬を取り上げたい。中団後方からレースを進め絶好の手応えで直線を向かえたが、４コーナー手前から馬群に包まれ通しで直線も狭くなり、スムーズに追えないシーンが続いてしまった。他馬の鞍上がガツガツ追うなか、津村騎手は持ったまま追えない状態が200ｍ程続き、漸く僅かな進路を確保し残り200ｍから馬群を割って伸びてきている。ラスト３Ｆが11.2-11.1-11.4秒と速く、スムーズに追えなかったのは大きな不利となってしまった。しかし勝ち馬とは0.4秒差で、２着馬にはハナ＋クビ＋ハナまで詰め寄っており、脚を余し勿体ないレースだったと言える。以前は先行するケースが多かったが、1400ｍ戦に距離を縮めてからは差しに脚質転換し近４走で３回の上り最速を記録し、着差も小さく好走しても人気にならない妙味のあるタイプである。直線スムーズに追えさえすれば高配当を演出する馬になりそうで、次走も人気薄の期待があり大きく狙ってみたい。

10番人気と低評価であったが、素晴らしい走りで３着に好走した。重賞で好走歴のある馬が揃い牝馬限定戦とはいえメンバーレベルの高いレースとなっていた。中盤のペースがやや緩んだ事で上り３Ｆ勝負となり、逃げ切ったディヴィーナが刻んだ11.3-11.2-11.4秒というラスト３Ｆは、過去の好走条件にはマッチしないイメージである。しかも直線は前が壁になり外に持ち出すロスがありながら、ゴール前の伸びは１番と言える脚色であった。後方に置かれるパターンが多くなっていた近走だが、距離短縮戦でも前進気勢を出して中団前でレースが出来たのも大きな収穫である。重馬場のエリザベス女王杯で２着があるが、フェアリーＳや紫苑Ｓでの豪脚もベストパフォーマンスである。長い距離を使われる事が多くなっていたが2000ｍ前後が向きそうで、馬体も＋18キロと漸く実が入った印象があり、今後は中距離重賞で活躍に期待できる。凡走歴のない関東圏での2000ｍ以下戦なら大きく狙ってみたい。

上位人気馬２頭のマッチレースとなったが、ロスある競馬ながら３着に好走したこの馬を次走で狙ってみたい。まだ心身ともに成長途上でパドックでも最後方を歩き、テンションがやや高くなっていた。そのためスタートから折り合い重視の走りで後方を追走する。３コーナーの上り坂で行きっぷりが悪くなったのか鞍上が軽く促すと、勢いが付き下り坂で一気に外を上昇していってしまった。４コーナー手前では持ったままの手応えで先団に並んだが、コーナーワークで大外に振られ３馬身程の遅れをとってしまい、直線は脚が残っていないと思われたが、鞍上のムチに応えしぶとく脚を伸ばし再度２頭に接近してゴールとなった。３コーナーから一気に脚を使った割にはゴール前は差を詰めており、ラスト２Ｆの11.0-11.4秒の速さからみても大外に振られたのは致命的だったと言える。鞍上が思っていた以上に反応が良すぎた印象で、無駄脚を使ったと言える内容であった。それでも勝ち馬とは0.3秒差で高いポテンシャルは確かである。次走は直線まで我慢する競馬で勝利に期待したい。

リバティアイランドの３冠達成で幕を閉じた３歳牝馬クラシック路線であるが、今後女王に迫る活躍に期待できそうなこの馬を取り上げる。前走のローズＳで一躍主役候補になったが、デビュー戦から素晴らしいパフォーマンスを続けていた。７着に敗れた忘れな草Ｓで春のクラシック参戦は叶わなくなったが、内しか伸びない馬場で４コーナー大外を回ったもので、２戦目であった事も踏まえると決して悲観材料とはならない結果であった。前走は僅か３戦のキャリアでレコードを叩き出す激走を果たし、今回も唯一女王に迫る末脚で上り最速をマークしている。スタートでやや後手を踏み１列後ろからの競馬になったことが届かなかった要因と感じられる。早め先頭から女王が刻んだ11.6-11.0-11.4秒の高速上りを後方から直線だけで迫ったパフォーマンスは互角の評価をしても良いだろう。まだキャリアが浅く成長も見込め、今後もＧⅠの舞台でリバティアイランドを倒す可能性を秘めている。世代牝馬の２トップとして注目していきたい。