12頭立ての10番人気と低評価でありながら５着に善戦し、直線での不利を考慮すると次走に期待を抱かせる内容であった。デビュー戦は６月の東京マイル戦で比較的メンバーレベルが高く、最内枠から出遅れて後方追走となりながら直線はジワジワと脚を使って1.0秒差の７着となっていた。まだ小柄で非力な面が残り今回は中山の急坂が課題となっていたが、0.2秒差の５着に善戦している。今回もスタートで後手を踏み最後方追走の厳しい位置取りとなったが、４コーナーでは最内から手応え良く馬群に取り付き、直線に向くと馬群を捌いて先団に接近する。残り200ｍでは先団を捕えそうな脚色であったが、前が壁になって進路を替えるロスがあり、さらに坂上では失速した２着馬の真後ろに入ってしまいブレーキを掛け、ゴール前は追えない状況となってしまった。上り33.9秒は最速で直線でのロスがなければ確実に３着以内を確保していた印象であった。メンバーレベルは疑問もレース振りからは未勝利を勝てるだけの力を秘めていそうだ。ブランド力がなく馬柱に現れないロスを踏まえると次走も人気薄となるのは確実で、波乱を演出する激走に期待して狙ってみたい。

昨夏の中京記念の勝ち馬も近走は不振続きで９番人気と評価を落していたが、好成績を残しているマイル戦に戻り４着に好走した。近走はマイル戦で結果が出ず距離を延長して重賞戦線を歩んでいたが、小倉記念での３着以外は大きな着順が目立っていた。今回はハンデ戦で57キロを背負っていたが、得意のマイル戦に戻って鞍上に武豊騎手を迎え変化に期待していた。以前は先手を奪う戦法で好走してきたが、今回は外枠という事も踏まえてスタートから抑える競馬を試みたようだ。前半は行きたがる素振りを見せ折り合いを欠き気味であったが、向こう正面後半から折り合いが付き外々を楽な手応えで追走する。３コーナー過ぎから徐々に上昇を開始し、直線を向いた地点では先頭に並ぶ積極的な仕掛けを見せるも、外から勝ち馬に一気に交わされてしまい、馬群に沈むかと思われたが坂上からも踏ん張って４着を確保している。ラストはキレ負けしていたが、自身も33.4秒の上りを使っており、逃げなくても好走できたのは大きな収穫となっている。重賞勝ちがありハンデ戦では背負わされる不利はあるが、今回のレース振りなら重賞で活躍するチャンスは十分にありそうだ。新たな戦法が板に付けば再浮上する余地を残しており、人気薄時の一発に期待する価値は十分にある。

悲願のＧⅠ制覇に向けての前哨戦で、別次元の走りを披露する快勝劇を見せた。過去ＧⅢは３勝の実績があり、ＧⅠの舞台でも上位人気に推されるポテンシャルを持っているが、左回りはスムーズ差を欠く雰囲気で好結果を残せずにいた。今回は課題の左回りで17番枠、内や先行有利な馬場コンディションと好材料はなかったが、全ての課題を振り払う圧倒的な末脚を披露している。スタートから中団に控える競馬で終始外々を回っていたが、３コーナー過ぎから大外を進出した加速力は素晴らしかった。４コーナーで左に張る面を見せ、他馬にも外々に振られ先団との差はなかなか詰まらなかったが、直線はジワジワと差を詰め残り200ｍで手前を替えると一気の脚で突き抜けてしまった。先行馬と内々を回った馬が上位を占めるなか、終始外々を回りながら差し切ったパフォーマンスは大きな評価ができる。前哨戦としては好仕上げで次走での大きな上積みは微妙たが、オーシャンＳ圧勝の舞台に替わるのは好材料である。有力馬に先行タイプが揃っており再度包まれずに全能力を発揮できれば、直線強襲のシーンも可能でＧⅠ制覇のチャンスは十分だ。