３歳馬ドゥレッツァが他馬とは違う性能で４連勝を飾り、今後のオープンクラスに期待できるポテンシャルを見せた一戦だが、３番人気で７着に敗れたシュトルーヴェの巻き返しに注目したい。中間ハードに追われ素晴らしい動きを見せていたが、レース当日のパドックでは発汗が目立ち、新潟への輸送でイレ込んでしまったのも敗因である。レースでも相変わらず行きっぷりが悪く後方追走となったが、過去走でも後方から上がり33秒台～34秒台を使う馬で、直線は外から弾けると思われていた。しかし、４コーナー手前で外から被されてしまいスパートが大きく遅れてしまう。直線何とか外に出して追い上げたものの、内回りコースでは届かなくて仕方ない内容であった。勝利したドゥレッツァはラスト５Ｆが全て11秒台後半のラップを、切れ味鋭く差し切るハイパフォーマンスであったが、この馬もまともに追えていれば２着争いには加われていたと思われる。ブリンカー着用馬で気性の難しさは残すが、直線外に出せれば確実に速い脚を使える馬で、人気が落ちる次回は絶好の狙い目となりそうだ。

小柄な牝馬で将来性という点では大きな評価はできないが、スムーズに運べないなかでも直線は素晴らしい脚を見せデビュ戦を勝利で飾った。好スタートから控えて折り合い重視の雰囲気で、ペースが緩み前の馬に乗りかかりそうになるのを抑えたため、口を割るシーンもあり折り合いには苦労していたが、向こう正面では馬群の真ん中で怯むことなく余裕十分に追走できていた。４コーナーでも手応えは素晴らしく、残り200ｍで壁となっていた先団３頭の外に出し一気に差し切った。ラスト３Ｆは12.2-11.6-11.3秒と先に抜け出した２着馬の勝利パターンであるが、２馬身程の差を残り200ｍで加速ラップを差し切ったパフォーマンスは圧巻であった。クラシック路線を歩むには馬体の成長と折り合い面に課題を残すが、現状でも確かなポテンシャルで早い時期の２歳重賞で期待できそうだ。

ローカル開催ながら中距離のメイクデビューに16頭が揃い、好メンバーとなっていたが圧巻の走りで１番人気に応えた。友道厩舎らしい丹念な乗り込みで中間の気配も良かったが、デビュー戦での最内枠に不安は残っていた。五分のスタートから馬なりで中団後方寄りに控え、中盤が緩んだ事もあるが絶好の手応えで追走していた。馬群がバラけた事で揉まれずに済んだ事は幸いしたが、３コーナー過ぎから仕掛ける各馬を先団の後ろでじっくり構えて４コーナーでは馬なりで先団に取り付いた。残り200ｍで外に持ち出され追い出されると、瞬時の反応で一気に加速した。まだ３馬身以上あった差を並ぶ間もなく差し切り、後続に３馬身半差を付けてゴールした。ラスト200ｍだけで他馬に７馬身以上の差を付けた計算だ。ラスト12.2-11.7秒の超加速ラップでフィニッシュしている点でも余裕の差し切りと言える。スタートからゴールまで全く不安のない走りでの完勝で、見た目のインパクトも大きく、クラシック路線まで期待したい馬である。

前走でＣＢＣ賞を制してはいたものの、1200ｍ戦としては珍しい後傾ラップでの逃げ切りで展開利が大きかったと思われ５番人気に甘んじていた。斤量も２キロ増の57キロとなり、先手を奪えないと脆い点も不安材料となっていた。しかし15番枠から絶好のスタートを切り、内に寄せながら先手奪取に成功し、２Ｆ目から10.4-10.9秒を刻み前半３Ｆを32.9秒とハイラップで飛ばした。４コーナー手前からコーナーワークを利用して後続を引き離し、直線入口では３馬身程のリードを保ち後続の追い上げを凌ぎ切っている。後半３Ｆは34.4秒と前半より1.5秒遅い前傾ラップ戦であったが、前走とは異なる流れでも逃げ切れたレース振りは評価できるものである。先手を奪えないとモロい面があり、体調の変化の大きい森厩舎で全幅の信頼は置けないが、サマースプリントシリーズ王者に輝く可能性が高く、短距離の逃げ馬として確固たる地位を築きつつある。スプリンターズＳは夏に好走を続けた馬には厳しい傾向だが、絶対王者不在のスプリント界なら通用する余地がある。今後も強力な同型が見当たらなければ好走に期待できる。