確実に進化を感じさせる内容で微差の４着に好走した。デビューからポテンシャルの高さが注目されていたが、気性が難しくアテに出来ないレースが続いていた。特に東京コースでは向こう正面の直線が長く、スローになりやすい点で折り合いを欠くシーンが目立ち、小回りでコーナー４回のコースで好結果を残していた。今回も東京コース＋距離延長戦で折り合いを欠いていたが、馬群で我慢し直線は狭い所からしっかり伸びていた。スムーズに走れないと脆さを露呈するケースが多かったが、近２走は馬群の中でレースをしても少差の結果を残しており、スムーズに走れれば３勝クラスでも能力は上位と言える馬である。夏競馬はローカルの小回りコースとなり、得意な舞台に替わる点は好材料となる。折り合いの付きやすい距離短縮戦であればさらに好結果を残せるはずだ。

12番人気と人気薄ながら好内容で４着に好走した。デビュー３戦目の新潟２歳Ｓを制し、朝日ＦＳやＮＨＫマイルにも参戦していた馬である。その後は1400ｍ～1600ｍ戦を使われてきたが、新潟２歳Ｓを最後に３年近く馬券内の好走はなく２桁着順を繰り返していた。しかし５歳になった今年は1200ｍ戦に距離短縮し、オープン２戦で0.5秒差と0.4秒差に善戦していた。今回も定位置となった後方から直線一気に伸びて４着まで追い上げ、ラスト11.7-11.2-11.8秒と先行勢が上位を独占した中でも、鋭い脚を使えた点は評価できる。これで３戦続けて上り３位以内をマークし、短距離の追い込み馬として再上昇しつつある。少差のレースをしていても、近３走の人気は15・12・12番人気と人気になりにくいタイプでもあり、高配当を狙うには絶好の穴馬である。北海道の洋芝が合いそうで、今後の函館・札幌開催で狙いたい。

少頭数７頭立てのメイクデビューであったが、1800ｍ外回りコースに素質馬が揃い好メンバーとなっていた。上位人気はルメール騎手や川田騎手鞍上の高額取引馬に譲り４番人気であったが、素晴らしいレース内容でデビュー勝ちを飾った。少頭数のデビュー戦特有の中盤に13秒台を記録する超スローペースで、後方２番手追走と厳しい展開＋終始最内で包まれる形となる。４コーナーでは行き場がなく最後方に下げられていたが、直線は先団が馬場の良い外目に出した内がポッカリと空き、ただ１頭内ラチ沿いを走りながら上り最速で差し切った。２着に５馬身差を付けラスト３Ｆで他馬に１秒以上速い33.7秒は秀逸である。特に11.6-11.0秒とラップが上がった地点で先頭に立っており、キレは相当あるタイプと言える。キズナ×ヴァーミリアンという血統からパワー型の印象もあり、この脚を使えたのはポテンシャルの高さ故だろう。持久力戦でさらに良さが出そうなタイプでもあり、相手強化でも通用する下地は十分だ。

前走ＧⅢ中山牝馬Ｓで重賞初制覇したばかりの身で、牡馬混合ＧⅠへの出走と10番人気は仕方ない評価であった。今回は一気の相手強化に加え大敗続きの関西遠征、距離延長での重量増に初騎乗となる鞍上へのスイッチと課題は多くあった。しかし王者イクイノックスにクビ差まで詰め寄った内容は素晴らしいの一言である。小回り向きのコーナーで加速する特性を活かしてスピードに乗り、直線突き抜けそうな手応えであったが、勝負所で挟まれて内に切り替えるロスが響きながら再加速して内から猛追している。ラスト12.0-11.8秒と先に抜け出したイクイノックスが加速ラップでゴールしているが、この馬はさらに加速ラップでのフィニッシュであったと思われる。強豪相手の一戦でイクイノックス以上とも言える内容での惜敗は大きく評価できるものである。５歳牝馬ながら無理をさせないローテーションで漸く素質が開花した印象があり、秋のＧⅠで大きな期待を寄せたい馬である。