近走の大敗続きから人気を落としていたが、得意の中山マイルコースで一変したハイパフォーマンスを発揮して２着に好走した。デビュー３戦目に中山マイルコースを初経験し、ニュージーランドＴ(ＧⅡ)を含む３連勝で舞台適正の高さを示していた。続くＮＨＫマイルでは２番人気に推されるも東京コース替わりで９着に敗れ、その後も古馬混合戦の上級重賞に出走を続けたが大敗続きとなっていた。今回は３連勝した舞台に久しぶりに戻り２着に巻き返している。メンバーレベルは高くなかったが、逃げて２Ｆ目から11秒台前半のラップを６Ｆ続け、坂下まで後続を大きく引き離していた逃げっぷりは素晴らしいものであった。ラストは12.3秒と失速し勝ち馬に交わされてしまったが、中山マイルコースで能力全開というパフォーマンスを見せている。まだ折り合い難は解消していない印象だが、まだまだ伸びしろのありそうなポテンシャルは驚異である。現状は舞台替わりに不安が残り好走条件が限られてはいるが、他コースでもマイル以下の距離であれば上位争いをする下地は十分にある。舞台替わりの人気落ちでも狙って面白い存在だ。

上位３頭の大接戦には加われなかったが、復活を感じさせるレースぶりで４着に好走した。３歳時はクラシックで上位争いを演じ、有馬記念でも好内容の４着と当時はトップクラスの実力を持っていた。古馬となった初戦も日経新春杯で２着し春のＧⅠ戦線に期待させたが、不運にも屈腱炎を発症し19カ月もの長期離脱を余儀なくされてしまう。復帰後は脚元と相談しながら適性外の舞台での出走となり大敗続きであったが、３カ月の休養を挟んだ前走の大阪城Ｓで復活勝利を飾った。今回はまだ半信半疑の評価で７番人気に甘んじたが、外を回った馬では唯一上位勢に迫る末脚で見せ場を作っている。コース取りや展開に恩恵がないなかでこれだけの走りを見せ、中間の追い切りでも十分に負荷をかけられるようになっており完全復活を感じさせる。トップクラスがドバイ遠征で勝ち切れなかったように、絶対王者不在の現状ならＧⅠでも再度期待できそうだ。脚元に不安を感じさせない調整がされていれば狙ってみたい馬である。

以前条件クラスを勝ち上がった時に、短距離ダート界に新星誕生として取り上げていた馬である。前走のフェブラリーＳは距離が長く９着に敗れたものの、1400ｍ以下の３戦では地方を含め２重賞を制し、２着１回とハイパフォーマンスを続けていた。今回は初の海外遠征で不安もあったが、1600ｍ戦からの距離短縮は絶好で激走の期待を持っていた。条件戦の時から1400ｍ以下戦ではスタート後の２Ｆ目で10秒台の快速先行を続け、今回もダートの本場である米国のスピード馬からハナを奪い果敢に先手を奪取した。直線は勝ち馬に早めに交わされ突き放されてしまったが、２着を確保してこの馬の力を十分に示していた。現状ダートの短距離路線は高齢化が進んでおりレベルが低く、スピードを活かしたレース振りは小回りコースでさらに威力を発揮しそうで、地方を含めた今後のダート短距離界で無敵の走りに期待できそうだ。600キロに迫る巨漢の迫力ある逃げっぷりに注目を続けていきたい。