ダート上半期の大一番・帝王賞を目指すダート界の上り馬が揃い、７番人気の低評価ながらも５着に善戦し、枠順やペースに恵まれないなか重賞で十分通用する走りを見せている。オープン初挑戦となった前走・アンタレスＳでは10番人気ながらミッキーファイトの２着に好走し、相手強化＋舞台替わりの今回は前走の好走がフロックではないことを示したい一戦となった。強力な先行勢が揃いハイラップが予測されていたが、３Ｆ目に13.3秒とペースが落ち、その後も12秒台後半が続くスローペースとなる。15番枠からのスタートて終始外々を回され、ピッチの上がった３コーナー過ぎから追い上げる厳しい展開も、直線入口では大外から先行勢に並びかけ、直線では一旦抜け出しそうな雰囲気はあったが、残り200ｍで末脚が鈍り５着に敗れてしまった。スローペースに加えやや重の軽い馬場で、ポジショニングの差が大きく左右する結果となったが、ラップが上がった区間で早仕掛けで見せ場を十分に作る走りは見せている。ゴール前は脚が鈍ったが上りは最速タイをマークしており、枠順とペースによる脚の使い所が惜敗に繋がってしまった印象だ。それでも勝ち馬とは0.3秒差で重賞で通用する力を十分に感じさせている。次走以降もダート中距離の下級重賞なら重賞初制覇に十分期待できそうだ。

フローラＳ５着時に次回狙える馬に取り上げた注目馬が、過酷なローテーションを克服し10番人気での３着と波乱を演出した。３歳牝馬トップホースを決定する優駿牝馬(オークス)出走を目指して、フローラＳ５着後に連闘で挑んだ矢車賞を素晴らしい走りで制し、連闘後の中１週と厳しいローテーションで大舞台に参戦。相変わらずスタートで後手を踏み最後方追走となったが、折り合いスムーズにじっくりと脚を溜め、各馬が内を空ける直線を見越しての最内強襲で豪脚を発揮し、ラスト11.6-11.4-11.7秒と速いラップが続いたなか最後方から上がり最速で上位争いを演じ３着争いを制している。1400ｍのデビュー戦から200ｍずつ距離を延ばし、今回の2400ｍまで素晴らしいキレを発揮し続けるポテンシャルは相当である。スタート難の影響で最後方追走が指定席となっているが、直線は馬群に突っ込んでも怯まないタイプで、スタート次第では中団で構えられる資質を持っている。父アニマルキングダムは米国産でケンターキーダービーの覇者、ドバイＷＣも制したダート馬で、母系もダート重賞の常連タガノビューティーが近親となる一族であるが、芝でのキレは極上で産駒の代表馬に成り得るポテンシャルを秘めている。今後も芝重賞での好走を含め将来的には芝・ダート兼用の息の長いタイプになりそうだ。距離や小回りコースを含めた舞台設定も問わず、今後の走りに大注目していきたい馬である。

オープン昇格後の戦績や競争中止明け今回は13番人気と低評価であったが、後方から一気の末脚を発揮し３着馬とはハナ差の４着に善戦した。オープン昇格後は３勝クラスを勝利したマイル戦を中心に使われ結果を残せず、前走の六甲Ｓではスタート後に内に斜行した馬の煽りを受けて鞍上が大きく立ち上がる不利を受け、歩様を乱したことで直線で馬を止める競争中止に見舞われていた。今回は以前から好結果を残していた1800ｍ戦に距離を延ばし、低評価を覆す末脚で４着まで追い上げている。序盤は後方２番手で脚を溜め手応え十分に追走するも、４コーナー手前から進路がなくなりスパートが遅れてしまう。直線入口でも前と外に壁があり進路の確保に時間を要してしまったが、進路を確保してスパートすると前を走る馬の間から脚を伸ばし、２着争いに加われそうな脚色を見せていた。ゴール前でやや伸びを欠き３着争いに敗れてしまったが、上り２位の時計をマークする好パフォーマンスであった。元々大敗も多く好凡走の波があるタイプではあるが、過去の戦績から1800～2000ｍが適舞台と感じられ、勝ち鞍は福島・新潟・小倉とローカル巧者という印象であった。競争中止明けながら京都コースで好走したのは収穫で、戦績通りローカルでさらにパフォーマンスを上げそうだ。今後も舞台や展開が噛み合えば一発を見込める穴馬として期待できる。