１番人気に応える走りで重賞初制覇を飾った。オープン昇格後は牝馬限定戦の上位人気常連であったが、３着３回と勝ち味に遅く勝ち切るまでには至っていなかった。今回は相手に恵まれた印象で１番人気に推されたが、初の福島コースは課題となっていた。１番枠を利して難なく先団に取り付き脚を溜めれた事も好走に繋がったが、直線に向き２着馬に外からプレッシャーをかけられて行き場をなくし、残り200ｍから進路を外に切り替える不利がありながら、ゴール前で一気に強襲して突き抜けている。ラストのキレ勝負では分が悪いタイプであったが３Ｆ11.8-11.6-11.6秒と速い上がりのなか、進路を切り替えての差し切りは評価できる内容である。小回り向きの器用さが持ち味であるが、ラストにキレる脚を使えたのは大きな収穫となりそうだ。出走権を獲ったヴィクトリアマイルは牝馬一戦級との戦いとなるが、再度内枠を引いて持ち味＋今回習得したキレを発揮できれば面白い存在になりそうだ。

オークスへの出走権を巡り好素材が集結した激戦となり、僅かの差で５着に敗れたが今後に期待させる走りを見せている。デビュー戦の東京1800ｍ戦は超スローペースを後方から33.9秒の脚で突き抜け、レースラップラスト11.2-11.3秒と高速上りを制した。前走の中山戦は不良馬場での消耗戦で上り37.7秒を要しながら３着に好走していた。今回はデビュー戦で快勝した東京コースに戻り期待したが、３カ月ぶりの実戦でも前走に続いて馬体を減らし、まだ完成は先を思わせる雰囲気であった。レースでは中団でじっくり脚を溜めるも終始他馬に囲まれる形で動けず、直線も前に馬がいてスムーズに追い出せずに仕掛けが遅くなってしまった。それでもゴール前は馬の間から上位に迫り、0.3秒差まで追い上げている。完成するのは先になりそうだが、馬場コンディションやペースが異なる３戦で好パフォーマンスを見せており、ポテンシャルは相当なものを持っていると判断できる。繊細な面の改善や馬体の成長は課題となるが、今秋や古馬になってから活躍に期待できる馬として注目していきたい。

ライバル・ソウルラッシュに完敗という結果に終わったが、始動戦としては十分な内容で２着を確保し次走に大きな期待を抱かせた。２強以外はやや低レベルのメンバー構成となり、唯一のＧⅠ馬として人気を集めたが、中内田調教師や川田騎手はあくまで叩き台というニュアンスを示していた。中間も１週前に好時計はマークしたものの当週は緩めの内容で、状態面は上昇気配にあったが７・８分程度の仕上がりに映っていた。当日の馬体重も＋12キロと余裕残しで、昨夏の夏負けのダメージと海外遠征で不本意なレースが続き、今回は慎重な始動戦であったのは確かである。今回は馬に負担をかけない直線勝負に徹し直線半ばではソウルラッシュに迫る脚は見せたが、ラスト突き放されたあたりは仕上がり途上が原因となったと思える。一昨年のマイルＣＳは後方から豪脚を発揮し王者に就き、昨春の安田記念では先行して厳しい流れでも２着に踏ん張ったように、マイル界トップクラスの実力は確かである。次走は状態面の上積みに期待でき、本来の力を発揮できれば逆転は十分に可能である。