２番人気での２着と重賞初制覇には至らなかったが、厳しい条件でも力を示し今後に期待できる走りを見せた。２歳～３歳前半で４連勝し世代短距離組ではトップクラスのパフォーマンスを続けていたが、その後は古馬混合戦で苦戦が続きやや早熟な印象を持っていた。しかし前走の淀短距離Ｓでは58キロを背負って快勝し、今回の重賞でも差のない２着に好走している。今回は初の関東遠征であり、スタートでやや後手を踏んで中団で揉まれる形となり追っ付け通しの追走となる。４コーナーでも左右から挟まれ厳しい形となったが、進路を抉じ開け直線は勝ち馬と同等の脚を使って２着争いを制した。以前は高速馬場でスムーズに先行してこそであったが、比較的緩い馬場に対応し揉まれる競馬でも好走したレース内容は十分評価できる。古馬になってからのレース振りが良く本格化の気配を感じさせる。賞金加算に成功したのは大きく、今後の目標レースを組み立てやすくなっている。左回りは２戦２勝で高松宮記念でもと思わせる今回のパフォーマンスであった。

好メンバーが揃って桜花賞出走権を争ったが、素晴らしい末脚を発揮し重賞初勝利を飾った。過去走では５戦して３着以内を外したのはＧⅠ・阪神ＪＦのみで、それも0.9秒差の７着とトップクラスと少差のレースをしていた。レース内容も後方から猛追も届かずや早仕掛けでゴール前差されクビ差及ばずと、ちぐはぐなレース振りでもあった。今回は武豊騎手に鞍上強化されるも５番人気の評価であったが、４コーナー14番手から逃げ粘る２着馬を強襲した。前半からピッチが上がりラスト12.3秒を要したのも強襲の要因となるが、大外を回してレースラップ11.6秒の地点で一気に先団を飲み込んだ末脚は評価したい。追い切りでは気難しさが目立っていたが、レースでは道中の折り合いも良く仕掛けられての反応は他馬を大きく上回っていた。桜花賞の権利とともに賞金加算に成功したのは大きく、オークスへの出走権も手中にしている。距離が延びても良さそうなタイプで、気性面の成長は欲しいがクラシック３冠レースでも注目してみたい馬である。

11頭立ての最低人気の評価であったが、強敵相手に４着と善戦した。前々走の未勝利戦をデビュー４戦目で勝ち上がり、前走は１勝クラスで４着と重賞では力不足の印象であった。スタートで他馬と接触し後方からの競馬となったが、内々で上手く立ち回りシンエンペラーをマークする形で直線を向かえる。キレる脚は使えないが内からジリジリと差を詰め、ゴール前の脚は見所十分であった。外が伸びない馬場で終始内々ピッタリを回った利点はあったが、放牧から帰厩後の追い切りで好時計を連発し、集中力のある走りから気性面の成長も確かであった。まだインパクトに欠ける走りではあるが、操縦性の高さと立ち回りの上手さは目立ち、高速上りはマークしていないが確実にメンバー上位の末脚を発揮する安定感は常にマークが必要だ。人気薄でも馬券の一角には加えておきたい馬である。

デビューは遅れたが既走馬相手の初戦で圧倒的な走りを見せ、ＧⅠ馬ピクシーナイトの弟として今後注目を集めそうだ。３歳３月にようやくデビュー戦を迎えたが、未勝利戦で好走を続ける強敵が複数存在し、経験馬相手の不利は大きかった。スタートでやや後手を踏み中団の追走となったが、中盤が緩んだペースにも折り合いがバッチリ付き、外々を素晴らしい手応えで追走する。４コーナーでは前を行く馬にやや進路を塞がれたが、外に出し促されると瞬時にスパートを開始し一気に突き抜けてしまった。ラスト３Ｆが11.4-11.1-11.6秒の高速上りを物ともせず、先団を並ぶ間もなく交わした末脚は素晴らしいものであった。上り３Ｆは他馬を１秒近く引き離す33.4秒をマークし、ゴール前は抑える余裕さえ見せていた。兄・ピクシーナイトは短距離路線で活躍したが、父がキズナに替わり距離の融通性が利き、パワーを要する馬場も苦にしなさそうだ。クラシックには乗り遅れたが、今後の動向に注目したい逸材である。