13番人気の低評価であったが、素晴らしい末脚を発揮し勝利した。３勝クラス勝利後は３戦続けて２桁着順となり一気に人気を落としていたが、脚質転換に取り組んだ効果が活かされ、他馬を大きく上回るキレで突き抜けた。短距離戦にしては中盤がやや緩み、４コーナー先頭・２番手の馬が２・３着に残ったが、ほぼ最後方から直線一気で上り33.1秒を繰り出している。特に坂上からの脚は素晴らしいものであった。1400ｍ戦で逃げて結果を残してきたが、近３走は1600ｍを使い２走前からは折り合いに専念し、差しに構えるに脚質転換を計っていた。距離短縮となった今回は折り合いにも進境が見え、ラストの脚を存分に発揮したキレ味を披露した。ハンデに恵まれたとは言え、時計も１分７秒４と重賞レベルで走り切り、オープンに上がっても通用して不思議ではない。距離延長に不安は残るが、1200ｍ戦なら次回も狙える馬である。

紫苑Ｓで２着となり秋華賞に駒を進めた素質馬が、本格化を感じさせる内容で重賞初制覇を飾った。牝馬限定戦でメンバーレベルは高くなかったが、勢いのある４歳馬を相手に楽勝とも言える内容であった。中団から徐々に進出を開始し、４コーナーでは素晴らしい手応えで先団に取り付き、直線は軽く仕掛けた程度で突き抜けた。ラスト11.2-11.3秒を叩き出し、ゴール前は抑える余裕さえ見せていた。過去の大敗は関西遠征時と内枠が仇となったオークスのみで、特に中山コースでは３着を外していない。ドリームジャーニー×クロフネという血統からも、小回り向きで機動力のある差し馬というイメージにピッタリだ。他場での走りは未知数であるが、能力的にはまだ上を目指せ、舞台設定が替わっても注目できる馬である。

後傾ラップで展開が向いたと言えるが、大外から素晴らしい脚で12番人気の低評価を覆す0.2秒差の５着に好走した。今回のレースで次走以降狙いたいと思わせるものはこの馬の過去走とのギャップにある。デビューからダート中距離戦を使われ、ハイラップの逃げで時折好走していた。３走前から徐々に前半抑えるレースを試し、前走根岸Ｓでは距離短縮ながら中団でレースを運び、強敵相手に７着に善戦していたが、今回は大外枠という事もあり、思い切り控える競馬でレース内容が一変した走りを見せた。スピードを末脚に活かせる形で上り最速をマークし、次走以降へ繋がる一戦になったのは大きな収穫である。新たな戦法を身に付け再浮上するきっかけを掴んだと言え、次走以降もこの馬の直線勝負に注目したい。

桜花賞トライアルの強敵相手で11番人気と低評価であったが、見所十分のレース内容で３着に好走した。レース傾向からは前走から距離短縮組が優位であり、結果１・２着馬は1600ｍからの距離短縮組であった。過去走で1600ｍの経験はあったが、1200ｍ戦で未勝利を脱出し前走も1200ｍ戦を使われ、距離延長の相手強化では厳しい戦いになると思えていた。臨戦過程でも昨年10月デビューから５戦を消化し、近２走は小倉遠征からの参戦とプラス材料は乏しかったと言える。しかし中間は遠征帰りでありながら意欲的な調整がされ、成長曲線を描いていた印象はあった。ペースが流れ展開は向いた印象はあるが、直線一旦脚が止まった雰囲気から、手前を替えてもうひと伸びして上り最速をマークし、0.1秒差まで詰めた内容は評価できる。次走の桜花賞はさすがに厳しそうだが、今後注目していきたい馬である。

２番人気を背負いながら８着と結果は残せなかったが、全く力を発揮できずに終わったもので参考外と言って良い。この馬は早仕掛けから長く脚を使うのが武器で、持久力戦で強さを発揮する。今回はペースが緩んだ事に加え、内枠が災いし終始馬群に包まれる形となってしまった。スパートのタイミングがなく、直線勝負に懸けたがコースが全くなく何も出来ずに終わった印象である。鞍上も絶好の手応えでコースを探していたが、終始馬なりのままでゴールまで追い出す事ができなかった。緩んだ流れと馬群に包まれ通しで能力を出せなかった事が全てと言える。状態面が素晴らしく、次走でさらなる上積みとなると疑問も、阪神小回りコースの舞台は絶好で大阪杯に出走してくれば逆襲は十分可能である。